国立新美術館で開催されています【オルセー美術館展】に出掛けて来ました。やはり一番目を引き、心奪われたのはエドワール・マネの
『笛を吹く少年』。
マネの作品の中では、特に有名ですよね。 美術展のチケットにもなっています。
「印象派の父」「近代絵画の創始者」と呼ばれた彼が34歳の時に描いた作品です。
灰色で処理された背景にフランス近衛軍鼓笛隊の少年が確かな存在感を持って、
浮かび上がっています。
少年が地面にたっていることを表現しているのは足元の小さな影のみ。
顔は真正面から光を受けて、ほとんど影がありません。
マネは少年を包む空気感を描くことに成功しました。
しかし、これは当時の絵画の常識であった背景や物語をなくした、まさに実験作で
ジャポニスム(浮世絵の技法)の影響を受けているとも言われています。
保守的な画壇への挑戦でもあったようです。
ちなみに、少年が吹いているこの笛は「ファイフ」と言い、ピッコロに似た小さな横笛で、
発祥は中世ヨーロッパとされ多くの場合、軍隊やマーチングバンド等で使用されたそうです。
美術展では、音声ガイドにより、この音色を聴くことが出来ました。
私は、オカリナのような音色を想像していたのですが、どちらかというと尺八の音色に
似ていたような気がしますね。
「笛を吹く少年」(1866年)
エドワール・マネ【Edouard Manet】(1832-1883)
油彩 160 x 98 cm オルセー美術館蔵