甘井りんごの5行日記

「みょうがの宿」のお話
朝、収穫したばかりのミョウガです。

「ミョウガ」で思い出すのは、市原悦子さんナレーションの日本昔話ばなし『みょうがの宿』というお話。

ミョウガを客にたらふく食べさせて、財布を忘れさせようとした欲張り夫婦の話です。
その夫婦の顔がいかにも悪巧みしそうな顔に描かれていたので、子供心に痛烈に色濃く残っているんです。
(昭和52年5月21日放送)


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昔、安芸の宮島の厳島神社へ続く街道筋に、とても欲深い夫婦が一軒の宿屋を営んでいた。
強欲ぶりが旅人にもわかるのか、客はめったに来なかった。

その宿に、久しぶりに景気の良さそうなお客がやってきた。
強欲な夫婦は、茗荷(ミョウガ)を食べると物忘れする、という話を思い出し、この客にたくさん茗荷を食べさせて大金の入った財布を忘れていかせようと計画した。

強欲亭主が、暑気払いに効果があるからと「茗荷の重ね食い」と名づけたその献立は、茗荷の串焼き、茗荷の浅漬け、茗荷の三杯酢、茗荷の煮つけ、茗荷のお汁、茗荷飯、にお酒。
ミョウガのフルコースだったが、どれも美味しかったため客は大喜びだった。

翌朝、客は朝食にも茗荷づくしの料理を食べさせられて、なにやらフワフワとした気持ちで厳島神社へ出発した。
さっそく亭主は客室をくまなく探したが、何も忘れているものは無かった。
がっかりした夫婦だったが、財布に気を取られて宿賃をもらい忘れていた事に気が付いた。

がっくりと気落ちした夫婦だったが、あの客が茗荷料理のうまさをあちこちで吹聴してくれたので、それからその宿は「茗荷の宿」と呼ばれ、たいそう繁盛したそうです。


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ミョウガは目立つ植物ではありません。
主役として、食卓に上がる機会も少ないと思います。
でも、この植物を家紋としている家はたくさんあるようで、それは、ミョウガの発音が冥加(みょうが)に通ずるからだそうです。

冥加とは、眼に見えない神仏のご加護を知らず知らずのうちに受けることをいい、特に、領地のために命をかけて戦う戦国武士たちは、戦闘で勝ち、命が残る冥加を願って、「茗荷紋」を好んで使用したともいわれています。

そんなことをチラッと思いながら、今夜、ミョウガの天ぷらをカリッといただきます。