横浜美術館で開催中の【ホイッスラー展】に出掛けて来ました。19世紀後半の欧米の画壇において、最も影響力のあった画家の一人であるホイッスラーは、
ロンドンとパリを主な拠点として活躍し、クロード・モネなど印象派の画家たちとも親交がありました。
また、構図や画面空間、色彩の調和などに関して、日本美術からインスピレーションを得て
独自のスタイルを確立したジャポニスムの画家として世界的に知られています。
私は、この↑
「ライム・リジスの小さなバラ」(1895年)というタイトルの画に一番心惹かれました。
バラを手に持っているわけでもないし、バラの生けられた花瓶があるわけでもない。
なんだろう...
しかし、大好きな色のトーン。
「ライム・リジス」というのはこの娘の名前かと思いましたが、実は、ホイッスラーが訪れた町の名前で、
彼女はそこの市長の娘ということらしい。
それは彼女の神秘的な姿を現実に引き戻してしまう情報のようではあるけれど、
61歳の画家ホイッスラーに影響を与えたということは疑いようがない。
バラは、彼女のことを意味していたのですよね。
小さな画(51.4 × 31.1 cm)ではありますが、赤と黒の服、褐色の背景は、
美術館の中でも、一際目立っていたような気がします。
髪を無造作にたらし、口は固く結び、あまりご機嫌がよくない、そんな顔も子供らしくて良い。
きっと、市長であるパパに勧められ、気乗りしないまま、椅子に座らせられたに違いない。
(私の勝手な憶測です。)
しかしそこに感じられる強い自我は、観る者を惑わす力を持っていることに、
おそらく彼女自身は気づいていなく、
のちに世界的有名な画として価値あるものになろうとは、夢にも思っていなかっただろうな。