昨日は、東京都美術館で開催されています【ターナー展】に出掛けてきました。ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナーは、生涯一貫して風景表現の可能性を探求し続けた、
英国ロマン主義を代表する画家です。
世界最大のコレクションを誇るロンドンのテート美術館から、油彩画の名品30点以上に加え、
水彩画、スケッチブックなど計約110点を紹介しています。
才能のきらめきを示す10代の習作から、文学や神話、実際の出来事などを題材に
風景画の可能性を追求し続けた壮年期の代表作、かつて誰も試みたことのない方法で
光と大気を描き出した晩年の到達点まで、栄光の軌跡をたどっています。
ということで、人物画としては、ターナーの自画像のみでした。 あとはすべて風景画。
夏目漱石の「坊っちゃん」の小説の中で、
『あの松を見据え、幹が率直で、上が傘のように開いてターナーの画にありそうだね』という
一説があります。 想像力を膨らませ、いったいどんな画なのだろうかと興味をそそられます。
その傘のような松が描かれた画もしっかり鑑賞してきました。
まさしく、漱石の表現通り、空に向かって高く真っ直ぐそびえ立つ、深緑の傘のようでした。
シンボル神のようにも見えました。
文部省の給費留学生だった漱石は、美術への造詣も深く、勉学の合間に、
度々ロンドン市内の美術館や博物館を訪れ、美術雑誌を定期購読もしていたようです。
「坊っちゃん」では、主人公とともに、釣りに出掛けた教頭と赤シャツが、瀬戸内海に浮かぶ
島の松を見て、『ターナー島』と名付ける場面も登場します。漱石にとって、ターナーの描く松は、かなり心奪われたものだったのでしょうね。
次に、私も、グリーンの傘を買うときには、試開しながら店員さんに「ターナーの名画みたいですね。」
とつぶやいてみましょう。(笑)